研修報告③ >>> 琉球大学へ行ってきました~眼科~

[研修先医療機関名]琉球大学医学部附属病院 眼科
[研修期間]平成22年02月01日~平成22年03月26日
[研修内容]○外来診療
[研修内容■]UBMの撮影技術の取得
[研修内容■]UBM画像の読影
[研修内容■]新患患者の診察
[研修内容■]再来患者の処置(レーザー治療など)
[研修内容]○病棟診療
[研修内容]○緑内障手術の助手
[研修内容]○教授回診への参加
[研修内容]○医局会への参加
[研修内容]○Japan ACG study研究会への参加
[研修内容]など
[研修内容]※...UBM:ultrasound biomicroscopy 超音波生体顕微鏡


≪報告①≫ ~UBMに関して~

日本の南西諸島における住民の眼科的特徴と緑内障を含む眼疾患の有病率を明らかにすることを目的に、2005年5月から2006年7月の間、琉球大学眼科と日本緑内障学会が主催し、久米島町民眼科検診(以下、久米島スタディ)が沖縄県久米島町において実施された。
それによると、久米島町の40歳以上の人口のうち、原発閉塞隅角緑内障の有病率は2.8%であり、原発閉塞隅角緑内障疑い(0.9%)と原発閉塞隅角症(14.6%)を含めると18.3%と東アジアのなかでも高い有病率を示していた。
ちなみに、それ以前に岐阜県多治見市で同様に行われた多治見スタディーでは原発閉塞隅角緑内障の有病率は0.6%であったことを考えると、いかに沖縄県で狭隅角の人が多いかということに気づく。
このことは、実際の琉球大学病院の日常診療の中でも、よく実感された。
緑内障以外の疾患(網膜剥離、糖尿病網膜症など)で大学病院を受診される患者さんも隅角が狭い人が多かった。

そういったバックグラウンドがあるためか、琉球大学は隅角の眼科的検査器械が豊富であり、経験も多いようだった。
特に、今回習得しようと考えていた超音波生体顕微鏡(UBM:ultrasound biomicroscopy)に関しても、外来でルーチンに行われる検査となっていた。
UBMの他にも、光干渉断層計(OCT:optical coherence tomograph)を利用した隅角の検査装置が2台あり、かなり充実していた。
UBMの撮影方法も臨床研究を経験しているだけあって、厳密に決められていた。
まずは、暗所で上方の隅角、耳側、下方、鼻側の隅角と順番に撮影していき、最後に正面視で前房深度を測定していた。
これを同じ順番で明所でも行っていた。
その後、僚眼でも同様に暗所と明所で撮影していた。
慣れてくると、撮影自体は5分かからないで取れるようになるが、その後、とったデータをカルテに貼るのが結構時間がかかった。
研修期間中に50症例以上の患者さんの所見をとることができた。

a1.jpg ≪UBMの装置

また、たまたまJapan ACG study(日本閉塞隅角緑内障研究会)の勉強会に参加させていただく機会に恵まれた。
日本を代表する緑内障研究者の先生方が琉球大学に集まり、UBMの読影所見についてDr.Kumarの考え方を学んでいた。
とくにplateau形状について細かく話し合いがなされていた。
日本でなんとなくplauteau虹彩といっていたものが、Kumar先生がシンガポールでされている疫学調査ではplateau形状と定義されないと知った。

Dr.Kumarの定義
以下の診断基準をすべて満たす象限が2象限以上でplateau形状と定義する。
1.The ciliary process was anteriorly directed, supporting the peripheral iris so that it was parallel to the trabecular meshwork.
2.The iris root had a steep rise from its point of insertion, followed by a downworad angulation from the corneosclearal wall.
3.Presence of a central flat iris plane.
4.An absent ciliary sulcus.
5.Irido-angle contact (above the level of the sclera spur) in the same quadrant.


a2.jpg ≪Japan ACG studyの先生方

a3.jpg ≪解説中のDr.Kumar


≪報告②≫ ~手術に関して~

緑内障手術の助手を沢山させていただいた。
手術は月曜日の午後と金曜日の週2日。
眼科手術は3列を並列で行っており、そのうち1列が緑内障の割り当てである。
大体、一日7件くらい行っていた。
緑内障手術といっても狭隅角の患者さんが多いため、まずは白内障の手術を行って、水晶体による狭隅角の要素を取り除く。
その際に、隅角解離術を併用して行うことが多かった。
それでも、眼圧のコントロールが付かない場合は、まずは下方から線維柱帯切開術を行い、それでも眼圧が下がらない人にのみ、線維柱帯切除術を行っていた。
よって、秋田大学で、第一選択のように行われていた線維柱帯切除術は3例ほどしか見なかった。
白内障手術も、上方の結膜をintactに保つため、耳側角膜切開で行うことがほとんどだった。
UBMで耳側の隅角は開いていることが多いため、耳側角膜切開による白内障手術+隅角解離術という術式は、理にかなっていると思われた。

a4.jpg ≪緑内障グループの先生たちと

≪報告③≫ ~病棟診療に関して~

秋田大学が主治医制(病棟主治医が一人でいろんな疾患の患者さんを担当する)をとっているのに対して、琉球大学では専門グループ制(医師数名からなる疾患別のグループで患者さんを担当する)で診療を行っていた。
グループは緑内障グループ、網膜硝子体グループ、角膜および神経・腫瘍グループの三つに分かれていた。
まだ専門を決めていない若手医師たちはそれぞれのグループを半年程度ずつローテートしていた。
私は緑内障グループの一員として、二ヶ月間緑内障の患者さんの診察を行った。

先生方は皆さん熱心で、緑内障術後の患者さんに関しては、一日三回(もちろん土日も!)診察していた。
緑内障術後の合併症に対しても、症例の蓄積があるので、対処がスムーズだった。
琉球大学の朝は早い。
八時から病棟回診がある。
しかも週に二回(火曜日は教授、木曜日は網膜硝子体の先生)病棟回診をする。
二ヶ月の後半、私はそこで患者さんのプレゼンテーションをした。
しかし、沖縄の患者さんの苗字は読み方が難しく、患者さんの入れ替わりも早いため、前日のメモなしには、すらすらとプレゼンできなかった。

≪報告④≫ ~その他~

ドクターのマンパワーが秋田より断然多い。
医局の人数は秋田9人に対し、琉球15人(外来だけの先生を合わせるともっといる)である。
そのためか臨床研究をする時間も確保され、仕事に余裕があるようにみえた。
ローテートしている先生は、じっくり新患をみることが許されていた。
秋田ではすぐ即戦力として期待されてしまうため、うらやましい環境だなと思った。

また、外来で手術適応になった患者さんはその場で、手術予定日が決まるシステムは画期的だと思った。

a5.jpg ≪病棟の様子

a6.jpg ≪送別会を開いて頂いた

≪番外編≫ ~日常生活について~


住んでいたのは、本学のキャンパス内にある施設。
大学がある西原町は大学以外何もなかった。
車がないと生活にとても不便だったが、車があれば首里までは15分くらいの便利な場所だった。
浦添、宜野湾、北谷は近かった。

a7.jpg ≪最初の二週間はツインをシングルユースしていた



二月に桜が咲いていた。
澤口教授に、桜で有名な八重岳へ連れて行って頂いた。

a8.jpg ≪澤口教授と



沖縄にいる間に琉球大学の医局の先生の披露宴があり、参加させていただいた。

沖縄の結婚式は本土とは全然違う。
まず参加者が200人を超える。
しかし、これは少ないほうなのだそう。大体400人くらいが普通らしい。
ウエディングケーキも天井につきそうなくらい、背の高いケーキだった。
琉球舞踊を生で見て、カチャーシーというお祝いの踊りを参加者全員で最後に踊った。

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≪↑後ろのモニターがあることからもわかるように、会場がコンサート会場並みに広い



離島(沖縄本島以外は離島というらしい)にも行った。
与那国島(日本最西端)と座間味島。

ダイビングのライセンスを取った(しかもアドバンスコースまで)。
与那国島の海底遺跡は波の状態が悪く行けなかったが、ホエールウォッチングもしたし、ジンベイザメとも泳いだ。
マリンアクティビティーするには沖縄は最高です。また行きたい!

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